10人が本棚に入れています
本棚に追加
「ぐっ、っ…!」
どんどん首を絞められていく。
視界が薄れてくる。
瞼が閉じるその時だった。
「手を離せ……黒百合」
黒百合は、え、とした顔で振り返る。
『おやおや、起きてしまったか…』
赤薔薇の首から手を離すと、彼はゴトリ、と床に落ちた。
咳き込んだ後、赤薔薇は意識を失った。
「それでいい。さっさと青百合達の所へ帰れ…」
顔を険しくさせながら、黒百合を睨む。まだ起きて間もないせいなのか、体が重い。
『寝起きで体が重い筈…えぇ分かりましたよ…帰ればいいのでしょ?』
そう言って、窓に手を掛けると体の周りを黒百合の花びらが舞い散り、その場から消え去った。
黒薔薇は重い体を引き摺りながら、赤薔薇の元に寄ると、抱き抱えた。
「…すまない、赤薔薇…っ」
赤薔薇を抱き締めた。そのからだは、フルフルと震えていた。
最初のコメントを投稿しよう!