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ダンルは寂しい顔を浮かべる。
「そうだ…これ」
そう言って、ダンルは茶色い袋を黒薔薇に手渡した。
黒薔薇は手を出す。ダンルは彼の手のひらに乗せる。ジャラリ、とお金の音がした。
「あのときの10000ギルです」
「…そうか」
それ以上何も言わずに懐にしまう。
「では、御気を付けて…」
ダンルは、深く、深く、御辞儀をした。
「…あぁ」
「ありがとうございました」
黒薔薇と白薔薇の声が聞こえた。
ダンルが顔を上げた時には、黒薔薇達は豆粒程になっていた。
ー御気を付けて、黒薔薇さん。貴方は…。
ダンルはまた寂しそうな顔をさせていた。
彼は、何を知っているのだろう。
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