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「惟子さん、ですか?」
「え、ええ。」
惟子と言われた女性がなんで私を知ってるの?
っていう顔で私を不可解そうに見ていた
「まも、いえ…
旦那さんが死ぬ前にお会いしまして…」
そのあとの言葉に詰まって
えっと、とかそのですねー、とか
ずっと繰り返した
「あの人のお客さんなら
あの人も喜んでいますわ」
最愛の人を無くしたのにそんなふうに
思わせない優しい顔で私に言ってくれた
私は老人ホームのお手伝いをして
家に少し遅くなると電話をして
惟子さんと隅田川の散歩コースを歩いた
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