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「誰かいるな。小さい――子供か?」
魔女狩りの一人が入ってきたらしかった。マルガレーテは何の反応も示さずにいると、目の前に若い男が現れた。
「魔女の子か……?」
「違う」
マルガレーテの口から、自分でも驚く程に淀みなく言葉が出てくる。
「あたしはこの家の魔女に嬰児の頃に拐された。調べればわかるはず」
男は自分では判断しきれないと諦め、マルガレーテを外に連れ出し本隊に意見を聞いた。結局その場はマルガレーテを保護することに決まり、マルガレーテは魔女狩りの本隊と本部に向かった。
その後、嬰児を奪われ一家が皆殺しにされたという事例が見つかり、時期も一致するということでマルガレーテは普通の人間の子供――それも哀れな孤児として扱われることになった。
マルガレーテは母親が大嫌いだった。外に出すこともなく家の中で娘を飼い殺す。これならば嬰児の時に殺されていた方がましだ。そんな憎い母親が死に、マルガレーテは外に出て生きていく方法を見つけ、行動に移した。まるで悪魔が憑いたかの如く、マルガレーテの知恵はよく回った。
魔女狩りの本部には、膨大な量の魔術書が収められていた。魔女を相手にするならば相手を知れ。マルガレーテは本部に預けられたまま自由に歩き回ることが出来たので、その魔術書を閲覧することが出来た。
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