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 目的地まであと一時間程度だが道中の会話は楽しくなりそうだ。     「ベタくん、家では何食べてるの?」      子供にこんな話題を振るなんて、ついさっきまで考えられなかった。彼も少し緊張が解けて来たようだ。     「宅配サービスの弁当です。昨日はハンバーグとサラダとパンでした」      それは便利だ。コンビニに通わなくて済む。     「それって、どうやって申し込むの?」     「…えっと」      少しベタくんは考え込んだ。何とかして思い出して欲しい。     「プレコ、困ってるでしょう。料理ぐらいしなさい」      プラティさんの呆れた声。まあ俺は週に何回かプラティさんの料理を食べさせてもらってる訳だが。     「だって俺、家事って苦手なんですよ」     「私だって最初は、苦手だったわ。    ベタくん、あんなお母さんじゃなくて良かったわね」      お説教モードに入りそうなプラティさんのせいで宅配サービスの申し込み方法は聞けそうにない。面倒だが自分で調べるしかない。     「僕、お母さん居ません」      ごく軽く、天気の話のように重大な事を打ち明けた。     「え?」      俺とプラティさんは綺麗にハモって聞き返した。
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