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いくら見てもこっちを見ないマスター。
もぅ…やっぱりダメなのかな…
「帰る。」
帰りたくなった私はそう言って財布を出した。
「なんで?まだ一杯しか飲んでないじゃん。」
「ここにいても意味ないし。」
「マスターと話出来ないから?」
そう言った宮本くんの顔は真剣な顔をしていた。
私は答えることが出来なかった。
「瑠奈先輩には無理だって。」
「ほっといて。」
テーブルの上に千円だけ置いて
「お疲れ。」
と歩き始めた。
「帰られるんですか?」
といつの間にかカウンターから出て来ていたマスターに話しかけられた。
今更話しかけてきたマスター。
笑顔なんか向けられない。
「帰ります。ごちそうさまでした。」
会釈をすると後ろから
「金、いらねぇし。」
と宮本くんは私の手にさっきの千円を渡してきた。
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