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(このカードはこう使うから…)
「あ…あの、隣いいですか?」
しばらくたった後、突然声をかけられたので声の方へ振り向いた。 そこには黒髪の少女が立っていた。
「隣? 別にいいよ」
「ありがとうございます」
少女は頭を下げて遊二の隣に座り、遊二はカードに目を戻した。 少女は机の上に散乱しているカードを見ていた。
「あ…あの…」
「なに?」
「沢山のカードが散乱していますけど、デッキの調整をしてるのですか?」
「ああ、万全で挑みたいからな… 悪い、今片付けるよ」
遊二は散乱していたカードを自分の前にかき集めようとした時、机の上からカードを1枚落としてしまった。
「カードが落ちましたよ」
落としたカードは『ブラック・マジシャン・ガール』のカードだった。
「これ、『ブラック・マジシャン・ガール』のカードですよね!」
少女は遊二にカードを渡しながら喜んでいた。
「このカードがどうかしたのか?」
「私もこのカード持ってます」
少女は自分のデッキの中から『ブラック・マジシャン・ガール』のカードを取り出した。
「お前、もしかしてマジシャンデッキか?」
「はい、可愛いカードが沢山あるから… けど…」
「? どうかしたのか?」
「このカード、1枚しか持っていないんです デッキのバランスを考えると後1枚あれば…」
少女は物欲しそうな目で遊二の手にあるカードを見つめていた。
「やるよ、このカード」
「いいんですか!?」
「ああ このカード1枚余ってるし、それにこいつがお前のデッキに入りたいって言ってるしな」
「言ってる?」
少女は首を傾げた。
「いや、何でもない はい、これ」
遊二は『ブラック・マジシャン・ガール』のカードを渡した。
「あ…ありがとうございます!!」
少女は満面の笑みを浮かべながら何度もお辞儀をしてからデッキに入れた。
「受験番号20番、デュエル場まで起こし下さい。」
丁度いい具合にアナウンスが入り、遊二はカードを片付け、デッキケースに入れた。
「俺呼ばれたから行くな」
席を立ち、控え室から出ようとしたとき、少女に呼び止められた。
「あの…私、先導咲って言います 試験頑張って下さい」
「俺は星月遊二、お前も頑張れよ」
2人は別れ際に名前を教え合い、遊二はデュエル場へ向かった。
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