序章  希少異能力少年

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『ドッゴ────ンッ!!!』 とても大きな爆発音が 校庭側から聞こえ 教室内に響き渡り 僕の耳をつんざく 僕の席は 教卓を前にして 一番教室の後ろの窓際 つまり居眠りには最適な 風当たりも最高な ポイントだ、だが… 「なぜだ? なぜ眠くならない…」 睡魔に襲われながら ただひたすら 耳に響く轟音は 僕を夢の世界に 旅立とうとする僕を 現実世界に留める 延々と科学の講師 茅部平蔵教諭の講義が続く とても歳のいった先生なので 口調が凄くゆっくりだ 只今の時刻(10時46分) いつもなら確実に この時間は 茅部先生の子守唄と 時間的な都合もあり 爆睡している筈… なのに眠れない それはやっぱり さっきから鳴っている この音のせいだろう と予想は容易に出来る 『バーンッ!!』 打ち上げ花火でも 打ち上げたのかよッ!? っと思わず 突っ込んでしまいそうな 轟音が再び教室に響く さらに真夏の暑さが 容赦なく僕の体から 汗を流させる 汗でへばりついた ワイシャツが気持ち悪い 大きな音のせいで 少し苛立ちにも似た感情が溢れる 僕は嘆息しながら 腕を机の上で交差させ 枕代わりにし 顔を腕に埋める 先生の話は ゆっくりで子守唄の様に 心地良い さらに、暑さで火照って だるくなっている 身体をやや涼しい風が 僕の身体を包み込む そして 僕は重くなる目蓋を ゆっくりとおろす
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