夏の始まり

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真っ赤に燃える太陽。 熱い日差し。 むせかえるような暑さ。 そう、一年の中でもっとも暑い夏という季節。 そんな地獄のような季節を俺、レイ=クローバーは寮から出た一歩目で痛感していた。 「暑い…」 思わず口からそんなことが漏れてしまうほど暑い。周りでは蝉の鳴き声が鳴り響き、独り言なんて誰にも聞こえない。 俺は頬を伝って流れる汗を手の甲で拭きながらそんなことを考えていた。 「暑いって言わないで…ただでさえ暑いんだから…」 いや、一人だけ聞こえていたか。 俺は隣で文句を言っている少女を見る。 薄い夏服を着た金髪の少女、『疾風の法則』ことサラ=リーゼ。顔立ちは整っていて、大きな緑の瞳に白い肌。スタイルはよく、スカートからすらっと長い足が出ている。 今年の春…というかついこないだまで伸びていた長い髪はすっかり切り落とし、首に軽く掛かる程度のショートヘアー。これから暑くなるこの時期にはちょうど良かったのかもしれない。 なんで髪を切ったかというと、先日の『翠の炎』、レイヴンとの戦いを終え、一つの心の切り替えだそうだ。 「なによ、人のこと見て…暑苦しい。あ、今自分で暑いって言っちゃった…」 いつもの力強く、恐れ多いリーゼの発現もさすがにこの暑さで参っているようだ。 若干自分のキャラが壊れてるし。
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