アイスと幽霊とインベーダー

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 エクトプラズムって解るだろう? 「ああ。勿論分かるとも。霊とかを物質化、視覚化する際のエネルギーまたは半物質といわれるものだろう」 「ああ。だがそれが解明されていないのさ。お分かり?」  そう言いながら俺の隣に座る少女は俺のスマートフォンを勝手に弄ってなぜかインベーダーゲームをやっている。いったいいつの時代なんだっていうんだろうか。とりあえず俺のスマフォだから返して欲しいんだけど。 「ああ。ちょっと待って。今UFO出たから」 「いやおいちょっと待て。それおれのだし」 「いいじゃん女の子の頼みくらいちょっち聞いてよ」  そんなふくれっ面されても困る物は困る。というかどうして一体彼女がここにいるかってのも俺は知らない。気付けばここにいて、そして俺のスマフォを強奪してインベーダーゲームをずっとプレイしている。まあ懐かしさからするのかもしれない。それは俺にだって解るけど、だからって人のスマフォを強奪してまでしたいことなのか。 「だって、あんた。この格好見て言えるわけ?」  そんなことを俺が言う前に少女はそんなことを言った。彼女は足の方を指差した。俺はもう分かりきってるけど、そっちを見た。  ――少女の足はなかった。  そう。つまりどういうことかと言えば。  彼女は幽霊だったのだ。
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