アイスと幽霊とインベーダー

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 まあ、彼女は確かに可愛い。それは俺も認める。なーんて言ったら全国の非リア充が「爆発しろ……」とかマジ切れするであろう。だから、そんなことはなるべく考えないほうがいいのだ。考えたら負けって言うだろう? 「あー、負けちゃったー」 「負けちゃったー……じゃないと思うんだけど。一体どうするってんだ。幽霊さんよ」 「幽霊さんとか言わないでよ。私も好きで幽霊になってるんじゃないんだからさ。ちゃんとした理由があるのよ? 私だって。でも覚えてないけどさ。とりあえず私も碧[みどり]って名前があるんだからさ。なんでそれで呼んでくれないのかなー?」  幽霊さんもとい碧さんはおしゃべりである。碧さんはおしゃべりでしかも古いゲームが大好きと来た。今の男子にとれば至極いいんじゃないだろうか? 彼女の美しさはどちらかと言えば可愛いので、少し前に流行った“ゲーム女子”なるものが今ならば理解できる。 「なあ、アイスが食べたいんだけど?」 「贅沢言うなこの幽霊。というかお前食えねえだろ」 「失敬な。幽霊も飯くらい食えるよ。だってあなた墓参りの時とかなんかいろいろおあげるでしょ? お饅頭とか水とか酒とか。実際減りゃしないけど食べてるんだよ。最近そういうのも減って嘆いてるけどねー」 「まじかー。けどうちは赤飯をあげるぜ」 「結構結構。赤飯なんて最高級じゃない。まんじゅうとかじゃ飽きちゃうのよ? というわけでアイスはよ」 「お前な……。いくらなんだってアイスを志望するのはどうなんだってんだ? 確かにこの時期はもうあつすぎるからわからんでもないが」
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