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返り血が全身に掛かっていたので、着替え用のジャージに着替えた
頭を思いっきり刺したら血が噴き出したからだ
ナイフも回収済みで、死体はそのまま放置、この時間なら誰も屋上に行かないだろう。行く理由もないし、大丈夫
ゆっくりと階段を九階、八階と降りていく
夜間の病院は怖いとよく言われるが、尋常なくらい怖い。もはや怖いの域を越えている
薄緑色に電気が光っているのが逆に恐怖感を煽っていた
戒が寝ている階は確か五階階だったはず。正直エレベーターで行きたいが監視カメラで誰かが来てしまう
仕方なく歩いて階段をひたすら下っていくと、もう五階だった
考え事をしていたら、いつの間にか、そんな具合に
…もう恐怖は無くなっていた
五階の廊下を戒の部屋を探しながら歩いていくと、案外早く見つけられた
すぐに入ろうと思ったが、扉を開こうとした手は止まってしまう
どう、声をかければいいんだろうか?こんばんは?元気?大丈夫?
あら、あららら?
ま、先ずは深呼吸…
「すぅっ……はぁー…」
無駄に鼓動を繰り返している心臓を落ち着かせたが、今の時間を思い出した
普通、入院している人は寝ている時間じゃないのか?
と、いう
ことはさっきの混乱は意味がないじゃん…
「はぁー…」
今度こそスライド式の扉を開いた。静かに、音をたてないように
病室は至って普通に机があり、テレビがあり、ベッドがある。ごく普通の病室。中では、当たり前だけど戒がベッドで寝ていた
忍び足で戒の近くに歩み寄って寝顔を確認すると…
「ふふっ…」
微笑ましくなるような寝顔で戒は寝ていた、時々寝言が聞こえるから夢を見ているのかな
……そこに私はいるの?あなたと一緒に過ごしているの?
もし、私がそこにいるのなら…
それだけで私は幸せになっちゃうね
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