私と彼

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夢なんか、確認の仕様がないんだけど。私は小さく笑った まぁいいか、戒と一緒にいられるだけで本当に充分なんだから …あと少しで終わっちゃうけど、それでも幸せ 戒の顔を見ながら、私は起こさないように小声で語り始めた 「なんだか私、変になっちゃったみたい あなたの為に人を殺しちゃったからかな? あなたの事を好きになった時からかな? …戒が聞いてたらヤンデレって言われちゃうかもね。 戒は気付いてないかもしれないけど、私一目惚れだったんだよ。 幼稚園の時、一目見たときに顔が熱くなったの。 小学生の時は私とずっと一緒にいてくれたよね、あれ結構恥ずかしかったんだ。 夫婦って言われたのは嬉しかったけど、戒はどう思ってる? 中学校の時は色んなもので遊んだよね、花火も雪合戦も面白かったよ。 家に行ったときも、ゲームとかみんなでしたよね、戒がいっつもビリで…ふふっ…。 中学校最後でこんな別れになっちゃうなんて寂しいな、告白しとけば良かったかも。 それから…それ……か…らぁ"… …っ…ぅ…ひっ…ぁ"ぅ…」 たまらず、涙を抑えるために天を仰いでしまう 震える言葉で、聞こえていないあなたに私は取り繕った 「な…泣いちゃうからもう…行くね。 行か……ないと…」 私は涙目で立ちあがり、バックに入れてあった花束を部屋に置いてあった机の上に飾った もう、これで思い残す事はない。これからは一生会うことがないから、やり残したことは無いか確認する ……あーあ、失望させちゃったかな。殺人者は幼なじみだなんて、嫌だよね やり直したいなぁ…最初から、すべて そしたらもう私達は付き合ってて、周りから羨ましがれるカップルになってて デートとかキスとか、色々な事をいっぱい 遅いかな…今からじゃ、遅いかな 後悔が胸を締め付け、目から涙を排出していく。嗚咽が部屋に響いて、そのまま泣き叫びたくなってしまう そうやって私は醜く無意識にここに居続けたくなるけど、それは駄目。それは絶対にやっちゃいけないこと 私にはそんな権利はない、だって私は人を殺しちゃったんだから 戒から背を向けて、静かに私は病室の扉を開けた あぁ… 最後に戒に振り返り、私は呟く 「……戒、愛してる」 少女は、少年を愛した
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