私の現実

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月島病院は意外と大きい。高さなど詳しくは分からないのだが、10階まであるのだから誇るべき病院だろう 屋上も綺麗にされているし、柵も登れない高さに作られている 施設も完全防音の部屋やリハビリや適度な運動のためにスポーツジムみたいなのがあったり、特別な医者には風呂場が付いている個別の部屋まである始末 実際に、個別の部屋で住んでいる人が大勢いる まぁなにかあったら夜中でも出なければいけないから、デメリットもある つまり 「こんばんは、真ちゃん」 「こんばんは、水無瀬先生。あとちゃん付けで呼ばないでください」 傘を差したまま屋上にいた水無瀬先生、この男も病院に住んでいる医者の一人。調べたら名前も分かった 因みに、この男のちゃん付けは口癖だったと記憶している、さっき思い出したんだけども それにしてもなんて運がいい。水無瀬先生が私が屋上の扉を開けた時にはいたのだ これでもう、逃げられない。そう思いながら屋上の扉の鍵を静かに閉める 「どうしたんだい?電話で呼び出すなんて、しかも夜中に……というかどうやって入ってきたんだ?」 現在時刻夜中の一時。確かに、普通だったら病院に入れない時間だ だからといって、入れない訳では無いことはこの男も知っているはず。大体察しはついてるだろう。勿論、院長の娘の権限で持ってる裏口の鍵で入った だが、答え合わせなんてしている場合じゃないので本題を話す 「…水無瀬先生なら分かってますよね?」 「まぁね、答え合わせはしてくれないの?」 けらけら笑いながら言うが、するつもりはない 「しません」 「そりゃ残念だね」 睨む私の言葉を聞いて、水無瀬先生は演技掛かった様子で肩を竦める まるで余裕そうな、そんな態度で応対しているが、その余裕を消してやる 「それじゃあ……本題ですけど……」 いよいよ確信を突く時が来た…絶対にやってないなんて言わせない 警察に届けても病院が権力で一蹴する、証拠品だってある 「先生は…人を殺そうとしてますか?」 さっきまでと変わらない笑顔を無言で私に向ける それに怖くなった私は上擦る声で無理やり強く発音した 「証拠もあります!これがそうです!」 出したのは透明の袋に入った注射器、戒を殺さんとする毒薬だ 「さぁ……どうなんですか!?」 ジッと笑顔を顔に貼り付けたまま無言を貫く水無瀬先生 不思議と不気味に感じる表情だが、その口は漸く開いた
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