私の現実

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「あぁ、戒君を殺そうとしているよ」 なんの反省もないような、むしろ当たり前のような…そんな感じで清々しく言う 相手が動揺すると思ったのに、どうしてこんな言い方が出来るのか?分からない……分からない… 「もう開き直ったんだ。だけど勘違いしないように、僕は戒君を助けたいだけ」 は? 意味が分からない、何を言っているんだ?助けたいって言ったのか? ますます混乱していく私、それを無視しながら水無瀬先生は言葉を繋げていく 「あの病気は奇跡が起きない限り治せない。そう、僕じゃ治せないから僕は彼を殺すんだ。彼を苦しませたくないしね」 確かに、自分じゃあ助けられない人がいたら諦めるのが大概の反応だとは思う だけど、あなたは医者だろうが 「……戒を殺す以外…やり方は無いんですか?」 「うん、そうだね」 淡々と言う水無瀬先生…いや、水無瀬に憎悪が湧く なにが助けたい、だ。それってあんたが諦めただけじゃん それなのに、なんで…っ! 「…あんたの諦めに……あんたの諦めに戒を巻き込むなぁぁァァァァァァァァァ!!!!」 怒鳴り声と共に私も水無瀬に向かってバックから取り出したナイフを突き立てながら全力疾走で走り出す 「なっ!?」 ナイフを見た瞬間に表情を恐怖一色にし、微かな悲鳴を洩らした 体制を崩し、惨めに逃げ出す水無瀬。さしていた傘をこっちに投げるが風で違う方向へ吹き飛んだ ナイフなんか持ってないと思っていたか!?ただの犯人を当てに来たのかと思っていたか!? 歩いて追いかける私から必死に離れるように鉄柵に向かった水無瀬 だが、いつまでも追いつかないわけではない 鉄柵に背を預けて、こっちに絶望的な顔を向けている やっと追いついた、あと三歩でナイフが届く範囲までついにきた 私は言葉を吐き出す、疑問を、怒りを、憎悪を 「助けたい?だから殺す?ふざけないで、なんであんたなんかに戒が巻き込まれないといけないの?」 「う……ぁ…」 一歩 「みんな本当に腐ってる」 「いや…だ…」 二歩 「私が、戒を助けるんだ」 三歩 ここで、片手に持っていたナイフを上に構える。ナイフは鈍く輝いていた 「も…もう何もやらないから!命だけは…っ!!!」 …許さない、絶対に許さない!! 「死ね」 「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」 瞬間、何かが潰れるような音が屋上に何回も何回も響き、私の立っている場所は真っ赤な肉片と真っ赤な水で汚された
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