野獣

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ぶつり、と糸が切れるようにして、私は意識を失った。 「勇者はまだなのか!」 王の間に近づくにつれ、お父様たちの会話が聞き取り易くなる。 ゆっくりと一歩を踏み締める。 私が“私”としてここを歩くのは、これで最後だろうから。 「……待ちましょう」 「期日まであと二日しかないのだぞ! まだ海の向こうにおる勇者は……勇者は、間に合うのか!?」 期日。 それはあの魔物が提示した、一週間の地獄だった。
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