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俺の初恋は幼なじみが相手だった。
幼なじみは、俺と苗字の似た女。
福島宝っていう、すごく幸福そうな名前の女だ。
俺の“副島”って苗字は「ふくしま」とも呼べるらしく、小学生の時はよくからかわれた。
中学生になった今でも、たまにからかわれるけど。
「尚輝」
噂をすれば何とやら、だな。
振り返れば、笑顔を浮かべたあいつがいた。
苦笑しながら彼女の名前を呼ぶ。
「宝も遅刻か? 珍しいな」
「ううん。忘れ物を取りに戻ってたの」
上に掲げた手には、リコーダーを入れる袋が掴まれている。
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