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「そんなんの為にわざわざ戻ったのかよ」
「リコーダーは簡単には借りれないからね」
相手の問題があるし、と言って宝が笑う。
「俺に借りれば良かったのに。俺、宝なら嫌じゃないし」
「えっ」
目を丸くし、固まる宝。
俺より少し後方にいる彼女の頬に、赤みがさしていく。
「どうかしたか? 宝」
何も答えない宝に、俺は首を傾げた。
実際、宝との間接キスなんぞ気にしない。小学生の時まで一緒に風呂まで入った仲だし。
「もしかして、宝が嫌だった?」
「いや、全然」
いきなり真顔になり、ぶんぶんと手を振る宝。
「そっか」
呟きに宝の返事はなく、そこで会話は打ち切られた。
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