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通学路をまた進み始めたのは良いんだが。
会話の途切れと共に、ぎこちなさが漂う。
そんな空気を払う一言を先に発っしたのは、宝だった。
「今日、部活来る?」
さっきの宝みたいに、硬直してしまいそうになる。
そのワードは確実に、今の空気を変える一言だった。
聡い宝ならそんな事、分かっているだろうに。きっと、自分をごまかせないんだろう。
ふ、と笑いが零れる。
「来ないよ」
俺か宝が変わらない限り、絶対に部活へは行かないな。
答えを想定していたのか、宝からの反応はない。
表情もなく、変わりつつある冬の景色を俺越しに見ているようだった。
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