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着信ボタンを押し、美琴が出るのを待つ。時刻はまだ午前十時、休日なだけにまだ寝ているかもしれないと思ったが、予想外にもワンコールで繋がった。
「あっ、もしもし美琴か?」
そういつも通り電話をかけたはずなのだが。
「ひゃ、ひゃい! 美琴です!」
なぜか声が裏返っていた。
「美琴? どうした?」
「ど、どうもしてないわよ! ちょっと緊張しただけ!」
「緊張?」
美琴の言っている意味がわからなかった。緊張って、今更俺の電話に緊張することがあるのだろうか?
「そ、それより、休日の午前中から何の用よ!」
「あぁ。この間さ、俺と二人で遊びに行かないかって誘っただろ?」
「……」
「美琴? 聞こえてるか?」
「き、聞こえてるわよ!」
一瞬黙ってしまったので戸惑ったが、返事があったので続きを話す。
「でさ、急で悪いんだけど、今日って大丈夫か?」
「……」
「美琴?」
また黙ってしまった。いつもの美琴らしくない、と俺は思う。いつもだったら、はぁ? 空いてるわけないでしょう!? とか言ってきそうなのに。
返事を待つこと数秒、美琴の深呼吸が聞こえてきた。
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