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「とにかくさ、行く場所は決まってないんだよ。だから一度合流して、その場で考えないか?」
「はぁ? あんたが今考えなさいよ」
「じゃあ予定を立てて今度に」
「ダメ!」
「……」
「そ、それはダメ! い、いや、今日しか空いてないの。今日以外は全部杉並様との予定が入ってるの!」
「……そっか」
絶対に嘘だと思うが、これ以上は面倒なので拾わずに話を続ける。
「じゃあ今から二時間後、十二時に学園前でいいか?」
「いいわよ。遅刻したら許さないんだから!」
「大丈夫大丈夫」
姫乃やるる姉のおかげで、こと時間に関しては厳守している。変なことに巻き込まれない限り、遅刻はないだろう。
「じゃあ、その、切るから」
「あぁ、また後でな」
そう言って俺は通話終了ボタンを押す。そして切った後、いつもとおかしいことに気付いた。
なんか、美琴にしては普通に終わったな。
いつもだったら捨て台詞付きなんだけど、こんな普通な日もあるんだな。
「ターカー君ー」
るる姉の声で我に返ると、すぐ隣にまでるる姉は迫っていた。その表情は暗く、落ち込んでいるんだなとすぐわかる。
「ごめんねるる姉。お出かけはまた今度で」
「デートぉ! デートがしたいのぉ!」
子供が駄々を捏ねるように、何度もデートと言い続けるるる姉。そんな姿に呆れながらも、俺は出かける準備を始めた。
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