3518人が本棚に入れています
本棚に追加
「門番さん達よ、忠告する。やめておけ、お前等の二人や三人かかってきても、この俺をどうにかする事はできない気がする。もっとも、何事もやってみなければ分からないがね。」
ハンベエは余裕綽々、大胆不敵にこう言って、さらに続けた。
「それに、俺は抜いたら殺すタイプだ。峰打ちなんかはしないから、早まった真似はしない方がいいぜ。別にお前さん方を斬る予定はまだないから。」
「貴様、手向かうつもりか。」
門衛は槍の先をハンベエに向けた。かなり立腹しているようだ。
それはそうだろう、ここは一国の首都の王宮の門前なのだ。大人しく前を通る人間はいても、ここで暴れようというトンデモナイ馬鹿には出会った事はないはずである。ましてや、ハンベエの門衛達をてんで問題にしていない大物ぶった態度、小さくなって城門の前を通る一般人ばかり見慣れている彼らを苛立たせるには十分すぎておつりが来るというものである。
「オイラ達に手出しをしたら、ただじゃ済まないよ。バンケルク将軍には『一刻も早く、王女様にチョクセツ届けるように』と言われているんだ。しょうもない邪魔立てして、後でお咎めを受けても、オイラは知らないからね。それに、ハンベエは数多いバンケルク将軍配下の勇者達を差し置いて、特別に付けられた護衛なんだ。そんじょそこらの兵士達と同じに考えてたら、トンデモナイ目にあうよ。覚悟はあるんだろうね。」
ハンベエの後ろに隠れているロキが言った。イヤイヤ、口から出任せ、吹く事、吹く事、風速ウン百メートルの少年と呼んでやるべきか?
シンバは少し思案している様子だったが
「仕方有りません、王女様に伺いを立ててみます。」
というと再び王宮の中に戻った。
門衛達とハンベエのにらみ合いがしばらく続き、やがてシンバが戻って来た。
「王女様が、お会いになられるそうです。」
そうシンバは言ったが、その顔が忌々(いまいま)しげだったのは気のせいだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!