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山を降りきった頃に、漸(ようや)くハンベエは『これから、どうしたものか』と考え始めた。
立ち止まって、今降りてきた山を振り仰ぐ。師のフデンとは最早再び会う事はあるまい。
師は剣の術を授けて、斬って斬って斬りまくれ・・・・・・と宣うた。
(何はともあれ、人を一人斬ってみなければ、始まらないようだ。斬って捨ててもかまわない人間が大勢いるところはどこかな。・・・・・・千人か。一日一人斬っても三年かかるなあ)
ハンベエは遠くを見渡しながら、心の中でつぶやいた。
如何に乱世とはいえ、物騒な若者が現れたものである。
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