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「ハンベエ、強いよね。何してる人なの?」
「・・・・・・まっ、剣術使い・・・・・・と言ったところかな。」
「剣術使い・・・・・・変な言い方。要するに剣士なんだね。もう何人も斬ったの?」
「いや、人を斬ったのは今日が初めてだ。」
実は、ハンベエは師のフデンの教えに従い、最初に斬るべき人間を捜して歩いていたのだが、丁度ロキの助けてぇという叫びを聞きつけ、遠くから逃げるロキとそれを追い掛けるならず者の姿を見かけ、丁度いい相手が見つかったと、刀を抜き放って、準備をして待っていたのだ。
遠くから気付いていたのなら、何故ロキを助けに走って行かないのか?って・・・・・・それは言いっこ無し、何故なら、ハンベエの第一目的は、師の教えに従い、剣を究めるための記念すべき一人目を無難に斬って捨てる事にあったからである。
初めて人を斬った時は、神経が異常な状態になり、気分が悪くなって嘔吐したりする事が本などに書かれていたりするが、この日のハンベエにはそういった事は全く無かった。ハンベエが特異体質なのか、時代が他人の命などに大して値打ちを認めない風潮のためかは解らない。ともかくハンベエは人を一人斬って、多少の達成感を抱いていた。
ハンベエはならず者を倒した。ハンベエの経験値が一上がった、てなものである。
「え、初めてだったの・・・・・・全然そんな風には見えないよ。もう何十人もの敵を倒してきた強者って感じだったのに。」
「まあ、段々とそうなって行く予定だ。うまく行けばな。そういうロキはこんな時刻にこんな場所を何故通っていたんだ。危ないのは解っているみたいだが。親とははぐれたか?」
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