二 千人の果ても一人から

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「親なんていないよ。こう見えてもオイラは商人なんだ。あちこちを渡り歩いて金儲けをするんだ。今日は特別な事情で、ゴロデリアの王女様に手紙を届けるために道を急いでたんだ。」  とここまで喋ってから、少年ロキは、しまった、口が滑ったといった顔をして、ハンベエを見つめ、 「ハンベエは悪い人じゃないよね。」  と言った。  ハンベエは小さく笑って、 「今のところは悪い奴じゃないみたいだぞ。」  と片目をつぶって見せた。師フデンの「正義のために戦おうと悪の限りを尽くそうと自由じゃ」という言葉を思い出したのである。師がすぐ側で微笑みながら見ているようなちょっとくすぐったいような気分になった。  宮本武蔵に丈太郎少年、近いところではケンシロウにリンとバット。物語のヒーローには強くはないがちょこまかと動く道連れが定番である。こうして、ハンベエはロキという道連れを得た。  ロキが仲間になった・・・・・・といったところか。
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