1章

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「どうしたんですか?」 「ん。 いや、水谷が気に入りそうないい話しを持ってきたのだが……いらないか。 そうか、じゃあな」 「えぇぇぇぇぇぇっ!? 私まだ何も言ってないけど……」 まったく会話を成り立たせないのが先生の嫌な所だ。 先生は、ふ。 と、不敵な笑みを浮かべながら話しかけてくる。 「水谷は『楽しい生徒会』を望んでいるのだろう?」 「当然よ。 仕事も大切だけど、コミュニケーションも大事だもん!!」 「それにしては、結構駄弁っている方が多いのだが……それは置いておこう。 だが、ここにいる者たちではまだ完全じゃないと思っているのだろう?」 「あと一歩って所ね……」 そう、あと一歩。 あと一歩でこの生徒会は完璧になると思う。 私は机の上に置いてある本『生徒会の一存』を見る。 ここにいるメンバーは大体同じキャラクターだ。 会長の私はともかく、書記の楓は頭もいいし、美人で大人っぽい。 副会長である瑞希も熱血好きで男勝り。 会計の雫ちゃんも儚げで大人しい。 それに瑞希と雫ちゃんは姉妹だ。 まぁ、双子だけど。 だけど小説ではもう1人いる。 決して欠けてはいけない男子が。 彼がいるから面白い。 彼みたいな存在がいるだけでもっと生徒会が楽しくなる。 でも私たちの生徒会にはその存在がない。 「そう、あと一歩なのよ」 「そうか……じゃあ水谷の満足のいくようにしてやろう」 「ふぇ? 満足?」 最後の先生の言葉が理解できなかったので私は他のメンバーを見る。 楓は肩をすくめて分からないと答え、姉妹たちも理解出来てない様子だった。 「お~い、入ってくれ」 先生は私たちのことなどお構いなしに、外に向かって言う。 外に誰かいるんだろうか? すると先生の声に応えてか、ゆっくりとドアが開いた。 「し、失礼します」 おずおずと1人の男の子が入ってきた。 身長は高くて、顔も整っている。 俗に言うイケメンってこの人のことだろう。 でもなんで学園内に私服でいるのだろうか?
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