1章

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私立西陵高校。 俺は明日からここに通う事になる。 試験は簡単にパスできた。 西陵は中々高い進学校で、金持ちの集う所でもあると聞いていたけれども、前の学校でトップを取っていた俺にとっては楽勝だった。 学費は成績が良かったためか、奨学金で全額学校側が負担するとのことだし問題はない。 今日は学校の先生に挨拶と、下見見学に来ていて今から帰るところなのだが、どこかで道を間違えてしまったようだ。 現在道に迷い中…… 結構校舎が広いため、どこを歩いたか見当もつかなくなっていた。 「……どこだよ、ここ……」 2階から下に降りる階段を見つけたまではよかったが、入口がわからない。 とりあえず探すしかない。 俺は適当に歩いていくと、目の前に美人な女性が歩いていた。 おそらくここの学校の教師だろう。 その人に助けてもらおうと声をかけようとするが、その人は俺を見ると、微笑しながら話しかけてきた。 「お前が転入生だ!!」 「………………」 「お前が転入生だ!!」 「…………えっと、そうですけど……」 なんだろう? 妙に痛い人の気がする。 なぜ名探偵を気取って指を差して、そんなことを叫んだのだろうか? 「説明でもしてやろうか? なぜ私は君が転入生だと思ったかを」 「いえ、別に結構です……」 俺はそのまま先生の傍を通り抜けようとする。 関わったらヤバい気がする。 それに早く帰らないと来週からの準備があるしな。 そう思って通り抜けようとすると、先生らしき人に服を掴まれてしまった。
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