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「まあ、いいじゃないか。 話を聞くぐらい」
「嫌です」
「そうかそうか、話を聞く気になったか。 偉いぞ~」
「無視ですか?」
「私の、趣味は、嫌がらせ、です」
「なんで英語の訳みたいに区切ってるんですか?」
「では話をしようか?」
「会話が成り立ってませんけど?」
もう無茶苦茶だ。
この人は俺の話を聞く気がないどころか、相手にしてないようだ。
そして勝手に語り出す。
「まず服が学校なのに私服。
次に迷子の様子だった。卒業生が学校に来るという線も考えられるが、迷っている様子のお前が卒業生とは考えられない。 まず、18歳以上という感じにも見えないしな。
最後に転入生が来るという情報がある。
これが要因だ。
君は転入生だから制服を着ていないし、迷子になったんだろう?」
「……そうですね。 簡単に言うとそうです」
間違いではない。
転入の話は先生なら知っているはずだろうし、俺は制服をまだ持って無いから私服で来た。
学校から私服でいいと言われたからだ。
そして、広過ぎの校舎で下駄箱がわからない。
全て当たっている。
先生はさらに続ける。
「もし困っているなら私が昇降口まで連れて行ってやろうか?」
どうしようか?
確かに困っている。
だが、会話が成立しない先生に頼んで大丈夫だろうか?
厄介な事にはならないだろうか?
「ちなみに断ったら、お前は私の彼女ということで学校新聞に張り出してやろう。どうだ?」
「……げ、下駄箱まで、お願いします」
「ふふっ……よかろう。 付いてこい」
俺は疑いながらも、付いていくことにした。
いや、完全に脅しに屈しただけだが……
まぁそれでも一応は先生だ。
困っている生徒に嫌がらせはしないだろう。
そう思ったのが間違いだった……
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