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―亜弥side―
「新たな道を切り開けるものが運命を変えられるのよ!!」
私こと、水谷 亜弥(ミズタニ アヤ)は生徒会室にいるものに向かって言ってやった。
すごく言い決め台詞だと思う。
だけど親友である五十嵐 楓(イガラシ カエデ)はニコニコと、藤堂姉妹(双子)は頭に『?』を浮かべている。
これにはちゃんと意味がある。
それは生徒会に男子を入れること。
勿論無理な話なんだけど……
もう役員は決まっていて、半月が経っているのだから。
「亜弥、男子の勧誘なんて無理に決まってるでしょ?」
「うぐ……そ、そんなんじゃないもん」
楓はいきなり確信を付いて来て私は取り乱す。
その光景を見て双子も、なるほど、という顔になった。
なんか悔しい。
「会長さん、もう今年の役員は決まったじゃん。
それを今更変えろって話は無理じゃないか?」
「そうですよ、今回は男子生徒の票は少なかったですよね?」
男勝りの双子の姉、瑞希(ミズキ)が呆れながら言ってくる。
それに合わせて性格が真逆の妹、雫(シズク)ちゃんも同調する。
そう。
うちの学校の生徒会役員の決め方はおかしい。
まず学校全体で人気投票が行われる。
そして1位から4位までの生徒が強制的に生徒会に入ることになり、今の私たちがいるのだけれど、今年というより、毎年男子生徒の人気は少なく、今年はというより、今年も私たち4人の接戦だったらしい。
去年は先輩が2人いて、会長と会計。 私が副会長で楓は書記。という構図だった。
そうして出来上がった生徒会役員は一年間変わることはない。
「ねぇ、亜弥?
何で男子生徒を勧誘するの?
別に今のままでもいいじゃない?」
「分かってるくせに……」
楓の言葉に、私は一冊の本を取り出す。
タイトルは『生徒会の一存』。
私が一番好きな小説。
毎日が楽しそうで、温かくて、なにより愛がある。
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