1章

5/22
184人が本棚に入れています
本棚に追加
/500ページ
―亜弥side― 「新たな道を切り開けるものが運命を変えられるのよ!!」 私こと、水谷 亜弥(ミズタニ アヤ)は生徒会室にいるものに向かって言ってやった。 すごく言い決め台詞だと思う。 だけど親友である五十嵐 楓(イガラシ カエデ)はニコニコと、藤堂姉妹(双子)は頭に『?』を浮かべている。 これにはちゃんと意味がある。 それは生徒会に男子を入れること。 勿論無理な話なんだけど…… もう役員は決まっていて、半月が経っているのだから。 「亜弥、男子の勧誘なんて無理に決まってるでしょ?」 「うぐ……そ、そんなんじゃないもん」 楓はいきなり確信を付いて来て私は取り乱す。 その光景を見て双子も、なるほど、という顔になった。 なんか悔しい。 「会長さん、もう今年の役員は決まったじゃん。 それを今更変えろって話は無理じゃないか?」 「そうですよ、今回は男子生徒の票は少なかったですよね?」 男勝りの双子の姉、瑞希(ミズキ)が呆れながら言ってくる。 それに合わせて性格が真逆の妹、雫(シズク)ちゃんも同調する。 そう。 うちの学校の生徒会役員の決め方はおかしい。 まず学校全体で人気投票が行われる。 そして1位から4位までの生徒が強制的に生徒会に入ることになり、今の私たちがいるのだけれど、今年というより、毎年男子生徒の人気は少なく、今年はというより、今年も私たち4人の接戦だったらしい。 去年は先輩が2人いて、会長と会計。 私が副会長で楓は書記。という構図だった。 そうして出来上がった生徒会役員は一年間変わることはない。 「ねぇ、亜弥? 何で男子生徒を勧誘するの? 別に今のままでもいいじゃない?」 「分かってるくせに……」 楓の言葉に、私は一冊の本を取り出す。 タイトルは『生徒会の一存』。 私が一番好きな小説。 毎日が楽しそうで、温かくて、なにより愛がある。
/500ページ

最初のコメントを投稿しよう!