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テニスという競技は、技術以上に精神面の比重が大きい。
少しの気の迷いから、思うように打てなくなる。
練習では、誰にも負けない自信はあった。
しかしダメだ、今日もゲームにならないまま終わってしまった。
何やってるんだろう俺は…
悔しくて情けなくて自分のラケットを投げ捨てた。
陰でみんな笑ってる。
あんな初心者にまで負けて、もうテニスなんか辞めたらいいのに…
俺に聞こえるように、陰口を言ってる奴もいた。
俺はこんな実力じゃないもっと強いはず、本当ならあんな奴15分もあったら倒せるのに…
「あ‼危ない!」
そのとき、テニスボールが試合を見ている車椅子の少年のほうに飛んできた。
俺は無意識にテニスラケットを握りしめ少年の目の前でテニスボールをキャッチした。
「お兄ちゃん、ありがとう」
車椅子の少年は笑顔でお礼を言ってくれた。
後ろにいた、母親も笑顔で頭を下げた。
「お兄ちゃん、スゴいねあんなとこからボールキャッチして、それもラケットに吸収させてるし」
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