リベルテ

opening

「……俺のたったひとりの肉親だった父さんは死んだ。任務に失敗したから。父さんはあいつらに殺され、俺は父さんの罪滅ぼしの為にウィルスの実験体にされた」
普段は無口な少年が口を開いた

「ふむ。そこで私の騎士達が助けた」
少年は首を縦に振った

金髪の女性は口角を上げ、フッと笑う

「ならば今の君には帰る場所はない。そういうことでしょ？」
また少年は頷いた

女性の言っている事が真実であるからだ

「ならウチで私の騎士にならない？アギト・グリフくん」
少年は何故自分の名前を知っているのかと一瞬驚いたがすぐにまたあの無表情に戻った

「アギト・グリフ。九歳。私程ではないけど稀に見ない天才少年。飛び級で大学まで行くが、学費が払えないため、大学をやめ、自警団の偵察兵になり、訓練を重ね、今ではプロ並みの銃の使い手。末恐ろしい少年だこと」
やはり自分の事を分析されていたかと悟る少年

別に今ベルトにしてある気送（エナジー）式ハンドガンで女性を撃つ事は出来る

しかし、それで何が得られるのだろうか？と少年は考える

女性を撃てば、彼女の言う騎士とやらが自分を撃つのではないだろうか？

ならば解答は一つしかありえない

これは選択ではない。脅迫である