プルーとアキ

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――― オレ様の名は 今はもう無い。 って、別になんだかの作家先生の真似じゃねぇ。 人間のエゴとやらのオモチャにされた挙げ句、放り出されたケチな野良犬さ。 この土手っ腹の抉れたのなんてよ。 チョッ! まぁいいか。ケチな野良犬だもんな。 そんなわけだから、毎日、縄張りを我が物顔で通る人間どもを追っ払うのがたまんねえ。 この親子もな。オレ様の縄張りを、毎日通っていきやがるんだ。 通学路だか通勤路だか知らねぇが、まぁ、運が悪かったんだな。 自慢の美声で吠えたててやるんだがよ。 チビのオスガキが、毎回母親に急かされて、逃げていきやがる。 チョッ! ったく、情けねぇったらありゃしねぇぜ。
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