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「さあ、批評をしましょう!」
そう叫んだ彼女の黒の双眸は、はち切れんばかりに輝いていた。
黒く滑らかな髪を垂らす一見して小学生の様相をした彼女に対して、
「ああ、そうですね」と、俺は笑う。
ちびっ子である彼女は、無い胸を張って、座る。どこかの女王が、高貴な一室の豪華な椅子に腰掛けるような雰囲気があった。
いや、違う。
座っている椅子は只の陳腐な木製のソレであり、此処は只の部室だ。旧校舎ゆえに古い。かび臭いし。
彼女もまた女王などではない。凜(りん)という名の部長だ。たった3人しかいない部の部長だ。
「いつになく偉そうですね、部長は」
「そうなんだよ、ラッキー。わたしはね、すーっごく偉いんだよ!」
学園ご用達のセーラー服のお陰で、なんとか高校生である事をギリギリ示している彼女は、身振り手振りを交え、自分の考えをひけらかしている。
取り敢えず、ラッキーという不名誉な徒情(あだな)を何とかして欲しい。
俺の名前は光雲(こううん)なのだ。
光雲(こううん)=幸運(こううん)=ラッキー
とかいう理由らしいが、その呼び名は永劫ごめん被りたい。
何が、ラッキーなんだか。
そういえば、と部長は言い、
「文姫(ふみひめ)ちゃん遅いね。何してるのかなー」
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