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トントン
有働花怜(カレン)の病室のドアをノックする音が聞こえた。
寝そべっていた花怜の小さな手が、読んでいた本のページを閉じた。
続いて
カシャカシャカシャ
ドアを引っ掻く音が聞こえた。
半開きだった花怜の瞼が全開して、たちまち花のような笑顔が咲いた。
少し慌てるように、横たわった体をベッドの上に座らせた。顔がわずかに上気して、白い顔に赤みが差している。
ドアを引っ掻く音が『ある特定の人物』の来訪を表していることを、花怜は知っている。
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