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「……ならば」
絞り出すようにして発言する。
「私も、あの人と共に死にます」
強い意志の灯ったその青い双眸を、零に向ける。
『構わぬ……と言うところだが、それは惜しい。感覚の限りでは、お前の神力量はかなりのものだ』
その口から放たれた言葉は、エランには想定外のものだった。まるで生かすような口振りだったからだ。
『どうだ、俺の提案を聞き入れてはくれないか』
「誰があなたの提案など……!」
すぐさま聞き入れない姿勢を向けたが、
『――お前の神力を死力に変換し、俺の眷属と化せ』
零は全く構わずに発言を続ける。
それにまた反駁せんと、エランは口を開けようとするが、
『この選択肢以外を選べば、お前の娘を殺す』
「っ……!?」
彼女には、声を出せなかった。
あまりにも理不尽な提案、否、強制に等しいそれは、彼女の最大の弱点を的確に突いていたのだ。
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