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『別にお前が、あの男と死を共にしたいと言うならば、それは止めん。スルトたちの行った方に向かうといい』
ただし、と人差し指を立てて、彼は言い放った。
『そうなれば、お前の娘を確実に殺してやろう。そうだな、やはりスルトあたりに殺させるとしよう。彼は無惨極まりないことを好むが……』
「やめてぇっ!!」
思わず、悲痛な叫喚をあげる。
あまりにも卑劣だった。
しかし、エランの今置かれている立場上、不利になるのは当然のことでもある。
「……っ」
『そんな憎々しげな顔を向けるな。もうお前に選択肢はない』
もちろん、一人の親として、愛娘が殺められるのを見過ごすなど、彼女には到底できはしない。
苦渋の判断だったが、やはり彼女に残された道は、自ずと一つに限られた。
「……奴隷になれば、娘を殺さないと約束しますか?」
零はそれにすぐ答える。
『ひとまずは殺すことはないだろう。ただ、やがて力をつけ、俺たちの邪魔になるようならば、それは厭わぬ』
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