プロローグ

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ただし、仮にここが見つかり、道化師が倒されるようなことがあっても、零はマレフィクスの出陣という手段を準備していた。それも既に、メアが取り計らっている。 そして、さらに――。 『……では、我は今より主の元へ行きます。作業の幇助(ほうじょ)を頼まれているので』 姿が見えない彼は、やがていつの間にか、道化師の前から立ち去った。 『……よく分からないな』 取り残された彼は、独りポツリと呟いた。 その時、 ―― 『?』 彼の背後で、カン、と何か音がした。 見ると、ドロップの缶のようなものが、岩肌の上に落ちている。 『……これは』 缶は未開封のようだった。裏側に文面が書かれてあったので、彼はそれに目を通した。 ――一粒で一食分の水と栄養が得られる携帯型食料です。排泄がないようにメアが工夫してくれています。適宜活用しなさい。 道化師はバカではない。すぐに理解ができた。
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