1070人が本棚に入れています
本棚に追加
「タイガくん、治療を早く!」
「……っ」
ヘーニルさんがいつの間にか移動していて、俺の前に立ち、守るようにして背を向ける。
続いて結衣も走り近寄り、俺の隣に座り込む。
「待ってて、今治すから!」
次の瞬間、
――
俺と結衣のみを取り囲むように、淡い緑色の膜が形成された。
見ると、ヘーニルさんが膜の表面に手をかざしている。
「タイガくん、まずは患部を一刻も早く治してくれ。僕はあちらの増援に向かう。結衣ちゃんも、頼んだよ」
「は、はい!」
結衣が返事をするや否や、彼は、向こう側の黄色と白、山吹色の雷撃が飛び交っている戦場へと出向いた。
「まずは左足首ね」
「……ああ」
輪郭が出来上がってきている左足首に、結衣は二重にヒーリングをしてきた。
――――
みるみるうちに元通りになっていく足先に、俺は驚愕した。
「……結衣、すごいな」
「甘く見ないでよね。水系統は元来治癒力の効果が群を抜いて高いのよ」
そう得意げに語る間に、左足首は、ちぎれたことが嘘のように、完全に再生された。その濃いセルリアンブルーの光をそのままスライドさせ、右足首の修復に取り掛かる。
最初のコメントを投稿しよう!