Ⅴ.乖離

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『これはこれは、メア様』 道化師(ピエロ)はそう言い放った。それに対し、 「なに……!?」 「バ、バカな……!」 オーディンさん、セトラスがいずれも声を上げ、ヘーニルさんは目を見開いていた。 ――カシャン、シャラン 「……」 結衣は、持っていたマックアルインを落とし、愕然とした様子で、 「……うそ」 そう、一言だけ、呟いた。 『……道化師(ピエロ)。何を手間取っているのです』 『申し訳ない。しかし手間を掛けさせるが、よろしければこの者共を縛りあげてほしいのだが』 『……いいでしょう』 赤い瞳は、不自然に暗いルーイクの中では一段と映えた。 「……結衣? どうしたんだ?」 俺はただただ、みんなが呆然としている理由が分からず、思わず彼女に尋ねた。
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