Ⅴ.乖離

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「……」 しかし彼女はそれには答えず、一歩、力なく前に歩み出た。 それに、“メア”と呼ばれた奴が、おもむろに目を向ける。 そして、再度呟いた。 「――お母、さん……?」 確かに、そう呟いたのだ。 背筋が、下から凍りついてくような感覚に襲われた。 次の瞬間、 『――ゆ、い……?』 その二文字を、奴は、口から発した。 「(な……!?)」 “メア”は、確かに、彼女の名を言い放ったのだ。
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