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「……!」
その姿は、確かに見覚えがあった。
瞳の色とヘアピンがないことを除けば、いつか、結衣の部屋で見かけた、写真の中の女性と、全く変わらない。
『――虚空間の隷、“メア”です!』
その刹那、
――
前に出し、かざしていた右手のひらから、灰色の光芒が走る。
それは、その場にいる神族へと均等に行き渡った。
「なにを……、……っ!」
セトラスが歯向かおうとするも、
「――体が動かない……!」
その発言で、今まさに自分達に、何の呪文がかけられたのかを理解する。
「……君がレストレインをしていたのか! あの日も!」
オーディンさんはそう言いながら、右手に白い光を宿す。
「(……あれ、動ける?)」
ここで、なぜか自分は動けることに気がついた。しかし、まだ一歩も動いていない。
これはチャンスかもしれない――。
そう判断し、前方の状況を、確認する。
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