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瞬間、雄志の右腕の大部分は、気化した。
『ふんっ!』
さらに、容赦なく追い討ちをかけ、
──ドシュ
「かはっ……」
彼の腹部に、その者の持つ長槍が貫通する。
傷口からはおびただしい量の血液が流れ出し、彼の持っていた剣が、シャランと音を立てて二つとも地面に落下する。
その凄惨な光景に、
「────ッ!!」
エランは発狂した。
憎しみに全てを委ね、声にならない叫喚をあげ、我を忘れて敵に攻撃をする。だがそんな無茶な戦法は、もちろんいとも容易くそいつに弾かれた。
バシ、バシュン──
『……ザコは黙ってろ』
槍を素早く雄志から引き抜くと、鮮血が勢い良く噴き出した。
不快な水音を響かせ、みるみるうちに雄志の足元に血溜まりが形成される。
「……」
支えを失った彼は、その場に力なく倒れ込んだ。白い装束に、赤色が染みていく。
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