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『……貴様たちは見たところ、常界の神族のようだが、何をしにきた』
それに反発したのは、
「何をって……、あなたたちが先に被害を及ぼしているのに、よくもそんな口が利けたものですね……!」
「……エラン」
意外にも彼女だったのだが、雄志はそれを諭し、制した。
『……確かに、愚問だったな。大方、我々の偵察、といったところか』
「……」
雄志はすでに、己の意識を保持するのに精一杯で、図星を突かれたことに対して反応をしてしまう余裕もなかった。
『……まあ、何でもいい。あいにくだが、偵察を寛容するほど俺は甘くはない。スルト』
一言呼ばれ、スルトは倒れている彼の首根っこを粗雑に掴むと、ひょい、と持ち上げて、
『来い。地獄を見せてやる』
そのまま、朦朧とした意識の雄志と共に、闇へと消えていった。
「ユウ――っ!!」
『諦めろ。ここに来た時点でお前たちは助からない』
エランの叫びを、零は冷たくあしらった。
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