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「ふむ」
のび太は、雷おじさんが放つ落雷を、大きくジグザグに走りながら、石ころを拾い、斜め上に投げつける。これを繰り返し、避け続けていた。
落雷は、発生位置から一番近いところに落ちる。
その性質を利用することで、のび太は落雷の回避を成功させているのだった。
本来この方法は、自然に発生する落雷には無意味だ。
何故なら、自然の落雷はいつ発生するか分からないからだ。
しかし、雷おじさんが使う能力は、
雷おじさんをよく観察していれば、
いつ発動するかわかってしまうのだ。
能力を逆手にとった戦い方をのび太は一瞬で考えつき、実行したのだった。
(奴と戦い、わかったことがある)
「ハァ、ハァ、く、糞餓鬼ぃ、いつまで逃げる気だぁ!」
(奴はさっきから一歩も動かず能力を発動している)
(それにも関わらずかなりの体力を消耗している)
(あの消耗具合、能力とリンクしていると考えていいな)
(そして――)
『――欲しいと思ったら物が出てくる――』
「試してみるか」
のび太はぴたり、と止まり足元の石ころを拾った。
「ハァ、ハァ、やっと止まったか」
「ああ、貴様に聞きたいことがあってな」
「聞きたいこと、だとぉ?」「何故貴様は僕を狙う。貴様に襲われる理由はないんだがな」
「理由?理由なんて必要ない!ただわしは、この力で貴様ら餓鬼を殺したいだけだぁ!」
「そうか」
のび太は冷めた目で雷おじさんを見た。
「なら、死ね」
のび太はそう言い放つと、石ころを雷おじさんに向けて投げた。
「なんだ?そんな石ころでわしを殺せるとでも――」
「スキル発動、死の弾丸〈デス・バレット〉」
のび太がそう言った瞬間、石ころが当たった雷おじさんの頭部が、吹き飛んだ。
頭部を失った身体は、そのまま地面に倒れ、動かなくなった。
「まあ、こんなものか」
のび太は、土管から駆け寄ってくるスネ夫を見ながら言った。
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