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Dear my angle
親愛なる我が息子、龍也へ
君がこの手紙を読んでいるということは、私は君と会えずにこの世から去ったということだろう。君との再会を待ち望んでいたが、どうやらそれは叶わなかったようだ。きっと君は、このアーソイドに来て混乱することばかりだろうから、この世界について少し私が説明しておく。
この世界は“アーソイド”と呼ばれる。
遥か昔、戦争を忌み嫌った音楽家達は孤島へ移り住み、音楽を発展させた。その副産物として彼らは特殊な生命源である魔力を、自らの体内に宿すこととなる。彼らは魔力を使って引き起こす事象全般を魔法と呼んだ。その魔法により──禁忌とも言える魔法だったが──先人達は地球とは異なるもう一つの世界、つまり“アーソイド”への扉を開け、そこへ移住した。これが、私たちサウンズの起源だ。
君はサウンズである私と人間である由美子の間に生まれた、いわば人間とサウンズのハーフだ。特別何か問題があるわけではないが、きっと君の体は、他の人間と違って魔力を体内に宿せるに違いない。もしかすると、君が気付いていないだけで既に魔力が宿っているかもしれない。
何かのきっかけで魔法が使えるようになるかもしれないが、決して使い方を誤らないようにしてほしい。下手をすれば私の血を継いでいるが故に、制御不可能な魔法かもしれないのでな。
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