Resounds the requiem

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 魔力を消費して魔法を放つ。ただし、魔法はある日突然使えるようになるものだ。その使えるようになった瞬間の心の動きを言葉に込めて口にすると、その時と同じ魔法が放てる。魔法を放つ際に口にする言葉を“words(ワーズ)”と呼ぶ。  また、このような“words”を唱えて魔法を放つ方法を“Recollecting Emotion(レコレクティング・エモーション)”といい、頭文字をとって“R・E(リィ)”と呼ぶ。  そして、“words”を唱えなくてもその魔法が使えるようになった瞬間の感情を正確に思い出せるようになれば、“words”無しで魔法を発動できる。これを“No Emotional Words(ノー・エモーショナル・ワーズ)”といい、略して“N・E・W(ニュー)”と呼ぶ。段階的にはまず“R・E”で魔法を覚え、何度か使ううちに慣れてくると“N・E・W”で発動できるようなる。  加えて魔法の質を上げるには、様々な一般教養を必要とする。総称して“魔学”と呼ぶが、強力な魔法にたどり着くためには例え“R・E”であっても魔学は避けて通れない。もし君が魔法使いを志すなら、しっかりと学ぶように。  便箋も残り少なくなった。まだ書き残したいことは山ほどあった。私は君と離れたこの長い年月で一度たりとも君を忘れたことはない。由美子を守れなかったのは私の責任だ。私を責めるのは構わない。しかし私に残されたものは龍也、君たった一人だ。君の成長する姿を傍らで眺めていたかった。眺める事すらもできなかった私は父親失格だ。  それでも私は君に会いたかった。そして共に暮らしたかった。こういった形で別れの言葉を述べなければならないのは非常に辛いが、私はどこにいても君の味方だ。忘れないでくれ。  Love  Vanguard Arejeck ── my true name.  伊織耕平より愛を込めて
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