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その日の夕暮れ
海で遊び終わった私たちに
[宿に帰るぞ]
お父さんが声をかけた
『あとちょっと!』
私は海に名残を感じ
お父さんの声を無視し
海に戻った。
洋服のすそを
手でたくしあげて
私は足だけ海にいれた
『気持ちいいっ』
そうやって
小さな子供のように
私は押したり引いたり
する波とたわむれていた
『あっ…』
私は少しおおきい波に
足をとられこけそうになった
「あぶねっ…」
いつの間にか
私の後ろには賢太がいて
私を支えてくれた
『ありがとっ♪』
私は目を見て
お礼を言った。
「あぶなっかしいんだから…」
賢太は呆れたように笑った
『仕方ないじゃん…』
ちょっと拗ねたように
言った私を賢太は
自分のほうに振り向かせた
「あのさ、
俺が見守っててやるよ」
賢太は目をそらしながら言った
『へ?どういうこと?』
全く状況が
理解できていない私に
賢太は今度は私の目を
まっすぐ見ながら言った
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