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5/13(日) ウニ
猫と目が合った。
朝だった。
一昨日の話。
確か茶色ベースで
とにかく男前だった。
足下にいて、足音立てて着地しても逃げなかったから飼い猫だろう。
目が合った瞬間、ビビッときたね。
ビビットカラーだね。
彼は直前まで何かしらと闘っていたんだ。
そう、何かしらの悪と。
あの顔つきから察するに、その悪とはチャイニーズマフィアだ。
チャイニーズマフィアの猛者達を相手に、身体一つで、さながらアクション映画のような乱闘劇を演じたのだ。
何の為に?
プライドと、
己と、
そして女だ。
トラ(猫)「…彼女を返してもらう」
マフィア猫1「何だコイツ。頭がマタタビでできてやがんのか?一人で乗り込んでくるなんて死ににくるようなもんじゃ―」
チャイニーズマフィアの一員、彼の腹に突き刺さったトラの右脚。宙に浮いて飛んでいく身体。
トラ「…よくしゃべる猫だぜ」
マフィア猫2「馬鹿が。油断しやがって。アイツの目を見ればわかっただろうに、アイツが本物であることが」
ジェーン(トラの女)「トラッ!何できたのよ!あなた殺されるわ!逃げてお願い…」
きらびやかな広間の奥、豪華な金の装飾に包まれた、左右対称2つの階段の上。
シャンデリアを頭上に、ジェーンが身を乗り出して叫んだ。
マフィア猫3「勝手に動くなっ!ボスの娘だからって俺は容赦ねぇぜ」
ジェーン「おだまり童貞!」
猫3「(TωT;)」
トラ「ジェーン!今行くからな」
マフィア猫2「悪いな、ここは通さない。ボスの命令だ」
マフィア達がゾロゾロと沸いて出てくる。入り口、両側、四方から。
ジェーン「やめてぇ!…お願いよぉ…」
泣き崩れるジェーンを瞳に映す。シャンデリアの光に包まれた彼女の身体は、トラにとってたまらなくセクシーだった。トラは瞼を閉じた。
トラ「…かかってこいよ」
ゆっくりと瞼を開く。彼の瞳には、今度は紅い輪の、ハイライトがあった。
あのキリッ、とした顔つきは百戦錬磨の雄の顔だろう。
勝敗?それも彼の顔を見れば、わかった。
一人の愛した女を、守り抜いたか否か。
すべて彼は、その瞳で語っていた。
彼とはまた何処かで、出会える。
そんな気がした。
~続くかも~
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