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映像2。
それは、デジタルビデオカメラで撮影された、鮮明なものだった。
街角で、父親と息子二人が、必死で叫びながら身を守っている。
やがて、息子は突然死んだ。
父親は我が身を守ることも忘れ、絶望的に泣き叫んでいる。
絶望的にというか、口が縦に力無く開き、頬と目と眉が垂れ下がり、間延びしたような無様な顔だ。
そこは銃撃戦の行われている街路。
「やめてくれ! 子供がいるんだ!」
その時はまだ、子供が生きていた。
父親にしがみついて、生きていた。
が、死んだ。
頭を撃たれた。
頭を撃たれると、子供は突然死んだ。
今、父親とぴったり寄り添いながら生きていたのに、もう死んだ。目を開けたままかも。
でもどうせ焦点は合ってないんだろう。
力もゼロだ。
いや、ひょっとしたら痙攣ぐらいはしていたかもしれない。
でも、すぐ冷たくなったんだろう。
その冷たさは、きっと生涯こびりついて、忘れられない。
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