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人間はどうやら、無造作に死ぬものらしい。
ドラマの死に際のように長々とは生きない。
映画のワンシーンのように、華やかには死なない。
ひどく地味に、ごとりと死ぬらしい。
祖母は幼い僕に言った。
「戦争は、ほんまにあかんわ。
戦争はしたらあかん。
ほんまに怖い。
ほんまに怖い。
ほんまに怖いわ。
戦争に負けたとき、アメリカが来る、皆殺しにされる言うて、怖かった」
今そこでいびきをたてているちっこい人間が、急に頭を撃たれて死んだら。
目を開けたまま冷たくなっていったら。
僕は生きていけない。
僕らは、そこに行きたいのだろうか。
僕はイヤだ。
けれど今日も街角で突然、ごとり。
山道でごとり。
世界の国で、ごとごとごと。
ごとごとごと。
その音を止めるのが、僕の役割。
あなたの役割。
みんな少しずつ、その役割。
少しだけわがままを控えれば、それは実現できる様な気がするけど、実際はどうなんだろう。
笑える時も来る。
と、思うのだけれど。
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